医院を経営するうえで、「資金繰り」や「キャッシュフロー管理」は、日々の診療と同じくらい重要です。医療の質を維持しながら安定した経営を続けるためには、健全なキャッシュフローが欠かせません。今回は、医院経営で押さえておきたい資金繰りとキャッシュフロー管理の基本を具体的にご紹介します。
1. まずは「キャッシュフロー」を把握する
キャッシュフローとは、医院の資金の「入金」と「出金」の流れを指します。キャッシュフローが黒字であれば、経営は健全に行われていますが、赤字が続くと医院運営に支障をきたす恐れがあります。まずは、以下の3つのキャッシュフローについて把握することが大切です。
- 営業キャッシュフロー:診療収入や保険請求の入金、医薬品・材料費や人件費といった、日常診療に関わる収支の動き
- 投資キャッシュフロー:医療機器や設備投資など、将来的な収益のための支出
- 財務キャッシュフロー:借入金の返済や利息の支払いなど、医院の資金調達に関わる収支
2. 収入の安定化を図る
診療報酬の入金サイクルは通常2か月遅れになるため、毎月の現金収支をきちんと管理する必要があります。収入の安定化を図るために、次のような取り組みが効果的です。
- 自費診療の導入:美容治療や予防接種など、自費診療を導入することで、キャッシュフローのタイムラグを補うことができます。
- リコール体制の整備:定期健診のリコール(再来院)をしっかりと行い、安定した患者数の確保を目指しましょう。
3. コスト管理で出費を抑える
経営の基本は「支出を抑える」ことです。医院運営では、医薬品費や人件費、消耗品費など、毎月の支出を効率よく管理することがポイントです。
- 支出項目の見直し:毎月の支出項目を整理し、不要な経費が発生していないか確認します。特に医薬品費や消耗品費はこまめなチェックが必要です。
- 人件費の最適化:スタッフのシフト管理を適正に行い、業務の効率化やシフトの調整を図ることで、無駄な人件費を防ぎます。
4. 資金調達と借入の管理
設備投資や開業時の借入がある場合、返済計画を綿密に立てることが重要です。借入金が多すぎるとキャッシュフローを圧迫しますが、適切な資金調達は医院成長の助けにもなります。
- 返済スケジュールの見直し:借入金の返済スケジュールが医院の収入サイクルと合っているかを確認し、必要に応じて見直しを検討しましょう。
- 必要資金の確保:将来の投資に備え、一定額の資金を余裕資金として確保しておくと安心です。
5. 定期的なキャッシュフローの見直しとシミュレーション
医院経営は環境変化や市場の影響を受けやすいため、定期的にキャッシュフローの見直しを行うことで、不測の事態にも柔軟に対応できる準備をしておきましょう。
- キャッシュフロー表の作成:毎月の収支や予定している投資を「キャッシュフロー表」にまとめて可視化し、将来的な資金繰りを確認します。
- シミュレーション:診療報酬が減少した場合や、設備投資を増やした場合など、複数のシナリオを想定し、シミュレーションを行うことでリスク管理を徹底します
まとめ
医院経営において、資金繰りとキャッシュフロー管理は日々の診療と同様に大切な経営の基盤です。キャッシュフローを定期的に見直し、無駄な出費を抑え、収入の安定化を図ることで、医院の安定経営を実現しましょう。
「資金繰り」や「キャッシュフロー管理」をしっかり行うことで、将来の成長や新たな設備投資への道が開けます。安定した経営基盤を整え、さらに患者さんにとって頼れる医院づくりを目指しましょう。
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