患者満足度は、医療機関の経営において極めて重要な要素です。特に、地域に密着したクリニックや病院では、患者満足度が直接的に収益に影響を与えることが多く、無視できない要素となります。今回は、患者満足度が経営に与える影響について解説し、その向上方法を考えてみます。

1.患者満足度が収益に影響を与えるメカニズム
- リピート率の向上
医療機関では、新規患者の獲得にかかるコストが非常に高い傾向にあります。一方で、既存の患者が再度利用するリピート率を向上させることで、収益の安定化が見込めます。患者満足度が高ければ、信頼感や安心感が生まれ、再診の可能性が高まります。 - 口コミの効果
満足度が高い患者は、自身の体験を周囲に伝える傾向があります。口コミや紹介は、広告よりも信頼性が高いため、新規患者の増加につながります。逆に、満足度が低い患者がネガティブな口コミを広めると、新規患者の減少やイメージダウンを招きます。
口コミは院長先生が思っている以上に患者数に影響します。
弊社が「患者満足度調査」を実施、定点観察し、傾向と対策を講じるサービスを提供している理由はここにあります。 - 自由診療の促進
自由診療(例: 美容医療、健康診断など)では、患者の満足度が高いほど、追加の診療メニューを利用してもらえる可能性が高まります。患者が「この医療機関なら信頼できる」と感じることで、収益性の高いサービスが選ばれやすくなります。
2.患者満足度を向上させるポイント
- 接遇とコミュニケーションの改善
スタッフの挨拶や対応、医師の説明の丁寧さは、患者満足度に大きく影響します。特に、患者の不安を軽減するような言葉遣いや、診療後のフォローアップが重要です。
弊社の医療接遇マナー研修では、単なる座学を受けていただくだけではなく、” よくあるシチュエーション “を想定したOJTを含む研修スタイルです。現場30年で患者対応をしてきた立場として
・どんな場合に患者様が不快に思うのか
・クッション言葉の効果的な使い方
など、実際の現場で役立てて ただける内容となっています。 - 待ち時間の管理
多くの患者が不満に感じる「待ち時間」は、適切な予約管理システムの導入や、診療の流れを効率化することで大幅に改善可能です。また、物理的な短縮だけでなく、患者様が「待っている」と感じにく対応もあります。
待ち時間が短く(または、待っている感覚が薄れる)なると、満足度が向上します。 - 施設の快適さと清潔感
診療の質だけでなく、施設の清潔感や快適な空間も患者満足度に寄与します。待合室の座席配置や照明、空調、設備の見直しは効果的です。クリニックや病院の院長は、意識するしないに関わらず、目に入るもの全てで総合的に印象として残ります。 - 患者フィードバックの活用
定期的に患者アンケートを実施し、不満点を明確にすることで改善のヒントが得られます。また、改善点に対するアクションを患者に共有することで、医療機関への信頼感が高まります。
収益向上の具体例
- 実例1: 小児科クリニック
患者アンケートで「待ち時間が長い」という意見が多数寄せられたため、予約システムを刷新。結果、リピート率が20%向上し、年間収益が約15%増加しました。
実例2: 内科医院
診察後に患者へ簡単な健康管理のアドバイスを提供。患者が安心感を持ち、自由診療の健康診断メニューの利用者が増加。年間収益が10%以上向上しました。
まとめ
患者満足度の向上は、収益の安定化や成長に直結する重要な経営課題です。医療の質の向上はもちろんのこと、接遇や環境の改善、患者との信頼関係の構築に力を入れることで、長期的な収益向上を実現できます。院長としては、スタッフとともに患者満足度を高める取り組みを進め、地域医療における存在感を強化していくことが重要です。